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北向地蔵尊

北向地蔵尊はなぜ北を向いているのか

梅田の紀伊国屋書店の西側、三番街の一番南側にあたるところですが、ここに、お地蔵さんがおわします。
北向地蔵さんで、人々の信仰が大変厚く、遠くからお参りにいらっしゃる方もいれば、毎日のようにお参りに来る方もいて、通勤の途中に立ち寄る人もたくさんいて、とにかくひっきりなしに、いろんな人がお参りに来ます。

北向地蔵尊

北向地蔵尊

北向地蔵尊

ガンが治った、病気が治ったなどから、商売が上手くいった、お目当ての学校に合格したなどまで、とにかく、願掛けが成就した例は枚挙にいとまがないほどで、そのせいもあって、気前よくお賽銭が投げ込まれ、よう稼いではるお地蔵さんです。
年間で200万円は稼いで…、や、無粋な話はやめましょう。。

1891年(明治24年)、この付近の畑から自然石に刻まれたお地蔵さんが掘り出され、信仰の対象となり、当時の地主だった仲谷弥三兵衛氏が世話人となり、お堂を北向きに建立されたのが由来です。銘文もなにもないので、誰が製作して誰が発注したのかなど、このお地蔵さんのルーツは一切わかってません。

お堂を建てた当時、現在のJR北ヤードの地に梅田墓地という大きな墓地があり、お地蔵さんに、その墓地で眠るたくさんの仏さんを見守っていただこう、という願いが込められての建立です。

1966年(昭和41年)からの阪急梅田駅の移設拡張工事とともに、1969年(昭和44年)、阪急三番街が誕生したために、お堂は西へ50メートル移り、現在の地に鎮座されております。

説明文も、お堂のところには用意されています。

北向地蔵尊

お地蔵さんのお堂を北向きに建てることは珍しいのですが、このお地蔵さんがなぜ北向きに祀られたのか。

そもそも、北側は、風水の見地からすると、悪い気が吹きだまっているところと相場が決まっています。
中国では「王者南面」の考えかたがあって、皇帝や王侯は北を背にして南を、家臣は北を向くかたちで王宮がつくられます。たとえば、京都の御所も、この様式を受け継いで、南向きにつくられています。北面の武士、という言葉も、ここから来てるし、京都で東が左京、西が右京なのも、その様式に則ってのことです。

北を向く仏壇をよしとしないのも、仏や先祖を下座に置くのは無礼だから、という気遣いから、生まれています。なのに、ここのお地蔵さんのお堂は、北向きに建立されている。

なぜか。

これは、そもそもお地蔵さんがどういうものなのか、というところにまで考えを巡らせないと、謎は解けません。

まず、お地蔵さんは菩薩の一種です。
菩薩とは、釈迦が悟りを開くまでの修行を一心に行なっている段階の姿を模したもので、一般的には、王子時代の釈迦の姿をされてます。なので、悟りの境地に達した如来と違って、王子の格好、アクセサリーで着飾った姿をしています。まだ、煩悩が残っている姿です。

ところが、その菩薩のなかにあって、地蔵菩薩だけは、一切のアクセサリーを纏わず、頭も丸めてらっしゃいます。
これは、お地蔵さんが、衆生済度のために奔走されていることに、由来します。

地蔵菩薩は、じつは、「一斉衆生済度の請願を果たさずば、我、菩薩界に戻らじ」との決意で、その地位を辞し、六道を自らの足で行脚して、救われない衆生、親より先に世を去った幼い子供の魂を救って旅を続けています。
そのような存在なので、ヘアスタイルを気にしたり、アクセサリーで着飾っている暇もない、と。常に、民衆とともにいるのが、お地蔵さんです。

六道とは、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道のことで、人間は死んだらこのうちのどこか、地獄から天国までの6段階のどこかに行くわけですが、どっちにしろ、この六道の中をグルグル輪廻しているのが、我々人間です。
そして、お地蔵さんもまた、我々に寄り添い、救ってくれます。

ですから、常に民衆とともにあることから、あえて人の下座、つまり、北向きに配されているのが、北向き地蔵です。

このお堂が素晴らしいのは、建てられた方が、お地蔵さんという存在の本質を理解し、ちゃんと北向きに建てられたことです。
日本全国にお地蔵さんは星の数ほど祀られていますが、ちゃんと北向きに建てられているのは、全国でも400体ほどしかありません。
ですから、北向地蔵は、珍しい存在にすらなっています。しかし、本来、お地蔵さんにかぎっては、北向きが本筋です。

ということで、本筋であるのにもかかわらず、北向きに建てられたお地蔵さんはかえって珍しくて、一風変わった功徳がある、とされています。北向き地蔵は、一般的に、一願本尊としてのご利益があるとされ、願いごとをひとつ、聞いてくれます。

ここの北向地蔵も、そうした信仰を集めているお地蔵さんで、しかも霊験新たかというか、効き目がすごいので、参拝する人が絶えません。

みなさんも、この近くを通られたとき、立ち寄ってみてください。願いが叶うかもしれません。