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綱敷天神御旅社

綱敷天神御旅社から「梅田」の地名を考える

 

阪急の梅田駅の東側の道を北へ歩いていくと、「ちゃやまちアプローズ」のすぐ手前に、都会の雑踏のなかの離れ小島みたいにして、ぽつんと、神社があります。
大阪は北区にかぎらず、都会の雑踏のなかに紛れて神社やらお寺さんやらが、ようさんあります。
芝田や、芝田の周辺にも、たくさんあります。

でもここ、綱敷天神御旅社は、拝殿のバックに近代的でオシャレな「NU」のビルをしたがえているという、なかなかの景観です。

綱敷天神御旅社

綱敷天神の末社の、御旅社です。御旅社と書いて、おたびしょ、と、読みます。御旅所と書くこともあるので、そう書くと、素直に読めますね。

綱敷天神は、天神の名がつく通り、菅原道真公を祭神とする神社で、西日本各地にあります。

綱敷天神御旅社

どこの綱敷天神も、だいたいが、菅原道真公が太宰府へと左遷になった折り、立ち寄った場所では、そこの住民たちが綱で敷物をつくって迎えたというところが、のちに、綱敷天神となってます。最後はもちろん、博多。ちなみに、博多には太宰府があるのに、そのすぐそばに綱敷天神があって、しかもそこは、綱場町という町名にまでなっています。どんだけ愛されキャラだったんだか、菅原道真公!

大阪人も菅原道真公が大好きで、綱島天神だけじゃなくて、そもそも大阪天満宮があるし、お初天神もあるし、でっかいところだけで、北区内に3社もあります。

そんなわけで、大阪の綱敷天神も菅原道真公が来てのちに天神さんの仲間入りをしたわけですが、それまでは、嵯峨天皇をお祀りする「神野太神宮」でした。同時に、太融寺も創建されてます。どっちも、嵯峨天皇追悼のモニュメントです。

のちに菅原道真公が左遷の折り、梅田に着いたところ、一本の紅梅が紅蓮の炎のように咲き誇っており、しばしこの梅を見るために、船の友綱をたぐりよせ、即席の座席をつくったことが、綱敷の名前の由来となっています。

さて、ここで梅が登場するわけですが、かつて、梅田は、「埋田」と書いてました。ここら一帯は、淀川が運んでくる泥湿地帯で、そこを埋めて、菜の花が一面に咲き誇っている場所やったんです。
それを見物するための敷居の高いお茶屋がたくさんできたことから、ここら一帯を茶屋町と呼ぶようになりました。芝田のお隣、今の茶屋町の謂れです。

「埋田」です。
いつごろからか、「埋田」は「梅田」になりました。もともとの字面が悪いので好字化したわけで、そうした例は全国各地にあるんですが、この梅は、字面がいいのもさることながら、菅原道真公を慕って、という動機も入っているのでは、と、考えられています。確たる証拠はないのですが、そういうふうに考えると、なかなか楽しいもんです。

楽しいついでに妄想を続けると、菅原道真公が立ち寄った際のここらの地名は、じつは「埋田」でも「梅田」でもなくて、「喜多埜」という地名でした。この「喜多埜」は、ここら一帯、かなり広範囲の地名やったようです。
ちょっとややこしいんですが、この「喜多埜」はのちに「北野」と字を変え、場所もぐっと縮小されて、今の、淀川の北側の「北野」に落ち着きます。
これもどこで字面が変わったのかわからないのですが、「喜多埜」という字面からはそれほど悪い印象は受けませんから、好字化以外の理由で、改字が行なわれたわけです。ここでぴーんと来るのは、京都に、やはり菅原道真公を祀った北野天満宮があるやないですか。このあたりに、なーんか鍵があるんではなかろうか、と、妄想をひろげていくと、なかなか楽しい(笑)

話は、綱敷天神の御旅社に戻りますが、要するにここは、綱敷天神の末社で、狛犬の台座を見ると、芝田町と茶屋町の氏子中と書かれてあります。この御旅社がある場所が茶屋町で、阪急電車の線路を挟んで西向かいにあるのが、我が芝田町です。

綱敷天神御旅社

ここももちろん菅原道真公が祀られていて、菅原道真公のシンボルでもある撫で牛も、ちゃーんと鎮座してはります。

綱敷天神御旅社

話は変わりますが、今、全国の神社の総元締であるところの伊勢神宮が、7年後に行なう遷宮に向けて、いろいろと行事を繰り出しています。
ところが、これにごっついお金がかかるわけで、全国の神社にノルマが課せられてます。
でも、神社は、拝観料やら檀家やらで儲けてるお寺さんとは違って、お賽銭やら初穂料くらいしか収入がないですから、そんなノルマはとてもやなけど、こなせません。

で、そのお鉢が、地元の町内会やら商店会やらにまわってきます。どっこも、結構なお金を寄付してます。
数万円どころじゃなくて、数十万円単位のところも、ザラです。
簡単に寄付といっても、宗教観の違いもあるし、昨今の経済情勢の悪化もありますから、町内会も商店会も、寄付集めに四苦八苦しているようです。

こういうことは、なかなかメディアに取り上げられませんね。